日々の暮らしを支える住まいの屋根は、風雨や紫外線に晒され続ける過酷な環境にあります。
特に、金属部分に発生する錆は、見た目の問題だけでなく、建材そのものの耐久性に影響を及ぼすサインかもしれません。
この記事では、この見過ごしがちな錆を放置することで、どのようなリスクが潜んでいるのか、そして大切な住まいを守るためにどのような対策が有効なのか、具体的に解説していきます。
屋根の錆放置で生じるリスク
雨漏り発生のリスクが高まる
屋根の金属部分に発生した錆を放置し、進行させると、金属の強度が著しく低下し、やがて穴が開いてしまう危険性があります。
ひとたび穴が開けば、そこから雨水が屋根材の下地へと容易に侵入し、天井裏や壁内部へと達してしまうため、雨漏りの発生に直結します。
初期段階では雨染み程度で気づきにくいこともありますが、放置すればするほど被害範囲は広がり、深刻な状態へと進行します。
雨漏りは、建材の腐食を早めるだけでなく、カビの発生や室内の断熱性能の低下を招き、居住環境を悪化させる原因ともなり得ます。
建物の構造材が腐食する
屋根に発生した錆穴から侵入した雨水は、屋根下地を構成する木材などの建材に到達し、湿気を含ませることで腐食を進行させます。
木材が腐朽菌の栄養源となり、構造材としての本来持つべき強度を失っていくと、建物の耐久性そのものが損なわれ、建物の寿命を縮めることにつながります。
また、木材が水分を吸収することで、断熱材がその性能を発揮できなくなり、夏は暑く冬は寒くなりやすいといった、居住快適性の低下にもつながるため、注意が必要です。
鉄骨造の建物の場合も、錆は構造部材自体の強度を低下させるため、建物の安全に関わる重大な問題となります。
修繕費用が高額になる
屋根の錆が発見された初期段階であれば、比較的軽微な補修や、錆止め効果のある塗料を塗布するだけで対応できるケースが多く、修繕費用も限定的で済みます。
しかし、錆を放置して雨漏りが発生したり、構造材の腐食が進行してしまったりすると、話は全く異なってきます。
屋根材全体の葺き替え、傷んだ下地材の交換、場合によっては建物の構造的な補強工事といった、大規模な修繕が必要となる可能性が高まります。
これらの工事は、専門的な技術や多くの材料、そして多大な時間と労力を要するため、初期段階での対応に比べて、費用が数倍、あるいは数十倍にも膨れ上がってしまうことも少なくありません。

屋根の錆びを防ぐ塗装の基本的な方法とは?
錆の除去と下地処理が最重要
屋根の錆防止塗装を効果的かつ長持ちさせるためには、塗装作業に入る前の「錆の除去」と「下地処理」が何よりも重要となります。
塗装面を覆っている錆や古い塗膜、汚れなどを、ワイヤーブラシやサンドペーパー、電動工具などを用いて物理的に徹底的に除去しなければ、新しい塗料がしっかりと密着せず、早期に剥がれてしまう原因となります。
また、表面の凹凸をなくし、塗料のノリを良くするために、必要に応じてパテなどで補修を行い、塗装面を平滑に整える作業も不可欠です。
これらの工程を丁寧に行うことで、塗料の性能を最大限に引き出し、長期的な保護効果が期待できます。
防錆効果の高い塗料を選ぶ
屋根の錆防止塗装においては、単に色を塗るだけでなく、錆の発生を抑制し、金属素材を保護する機能を持つ塗料を選ぶことが極めて重要です。
特に、下塗り工程で使用される「サビ止め塗料」や「プライマー」は、金属表面に強固な保護膜を形成し、錆の進行を強力に阻止する役割を担います。
塗料の種類には、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素樹脂系などさまざまなグレードがあり、それぞれ耐久性や防錆性能、価格帯が異なります。
屋根材の種類(ガルバリウム鋼板、トタン、セメント瓦など)との相性も考慮しながら、長期的な視点で建物を保護できる、信頼性の高い防錆性能を備えた塗料を選定することが肝要です。
塗装手順は下塗り中塗り上塗りの3工程
屋根の錆防止塗装は、一般的に「下塗り」「中塗り」「上塗り」という3つの工程を丁寧に進めることで、塗膜に厚みを持たせ、高い耐久性と保護性能を実現します。
まず下塗りでは、錆止め効果を発揮し、上塗り塗料との密着性を高める役割を果たします。
次に中塗りでは、塗膜の厚みを確保し、塗料本来の耐久性を引き出します。
最後に上塗りを行うことで、美観を向上させるとともに、外部環境からの保護効果をさらに高めます。
各工程の間には、塗料が十分に乾燥するのを待つ必要があり、塗り方にもローラーや刷毛を使い分けるなど、専門的な技術が求められます。

屋根の錆防止塗装DIYとプロ依頼どちらが良いか
DIYは費用を抑えられるがリスクも伴う
ご自身で屋根の錆防止塗装を行うDIYは、会社に依頼する際の足場設置費用や人件費、塗料の仕入れ値などを考慮すると、材料費や塗料代だけで済むため、大幅にコストを削減できるという大きなメリットがあります。
また、自分で作業をやり遂げたという達成感も得られるでしょう。
しかし、その一方で、屋根の上という高所での作業は、墜落や転倒による重大な怪我のリスクが常に伴います。
また、専門的な知識や経験がない場合、錆の除去が不十分であったり、塗料の選択を誤ったり、塗りムラが生じたりすることで、期待される効果が得られず、耐久性の低い仕上がりになってしまう可能性も否定できません。
プロ依頼は品質と安全性が保証される
屋根の錆防止塗装を専門会社に依頼する場合、DIYに比べて費用は高額になりますが、それに見合うだけのメリットがあります。
プロの職人は、長年の経験で培われた専門知識と高度な技術を持っており、屋根材の状態を正確に診断し、最適な塗料選定や工法で、高品質かつ耐久性の高い塗装を施すことができます。
また、安全管理の徹底された足場を設置し、安全対策を万全にした上で作業を行うため、作業中の事故リスクを最小限に抑えることができます。
さらに、多くの会社では施工に対する保証が付帯しているため、万が一、施工不良があった場合でも安心して対応を依頼できます。
状況に応じた最適な依頼方法がある
屋根の錆防止塗装において、DIYとプロ依頼のどちらが最適かは、屋根の状態やご自身のスキル、状況によって異なります。
例えば、錆の範囲がごく一部で目立たず、屋根の勾配も緩やかで安全に作業できる場所であれば、DIYで挑戦することも選択肢の一つとなるでしょう。
しかし、錆が広範囲に広がっていたり、屋根の勾配が急で危険が伴ったりする場合、あるいはご自身に塗装に関する知識や経験が乏しい場合は、無理せずプロの会社に依頼することが賢明です。
複数の会社から見積もりを取得し、費用だけでなく、提案内容や担当者の対応などを比較検討することで、ご自身の状況に最も合った、信頼できる依頼先を見つけることが大切です。
まとめ
屋根の錆を放置すると、雨漏りや建物構造材の腐食を招き、将来的に高額な修繕費用が発生するリスクが高まります。
これを防ぐためには、錆の除去と丁寧な下地処理、防錆効果の高い塗料の選択、そして確実な塗装工程が不可欠です。
DIYで費用を抑えることも可能ですが、高所作業の危険性や仕上がりの品質、耐久性を考慮すると、専門知識と技術を持つプロに依頼する方が安心かつ確実な場合が多いでしょう。
屋根の状態を把握し、ご自身の状況に合った最適な方法で、大切な住まいを長持ちさせるための対策を講じることが重要です。