日本の住宅で古くから使われてきた屋根材、トタン屋根。
近年はガルバリウム鋼板など新しい屋根材が登場していますが、多くの建物でいまだ現役です。
トタン屋根は種類が豊富で、それぞれに特徴があります。
今回は、トタン屋根の種類を詳しく見ていきます。
それぞれのメリット・デメリット、そして最適な選び方を解説することで、屋根材選びの参考になれば幸いです。
トタン屋根の種類と特徴
瓦棒葺きトタン屋根
瓦棒葺きトタン屋根は、縦方向に並んだ瓦棒と呼ばれる凸型の形状をしたトタンを、芯木(しんぎ)と呼ばれる木材に固定して葺く工法です。
芯木は、トタンを支え、雨水の排水性を高める役割を果たします。
伝統的な工法で、落ち着いた外観が特徴です。
メリットとしては、雨水の排水性に優れ、勾配の緩い屋根にも対応できる点があげられます。
また、比較的安価に施工できるのも魅力です。
一方、デメリットとしては、芯木が腐朽する可能性があること、経年劣化による錆や塗装の剥がれが目立ちやすいことなどがあります。
芯木の腐朽は雨漏りの原因にもなりかねません。
定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。
波板トタン屋根
波板トタン屋根は、波型の形状をしたトタンを並べて葺く工法です。
工場や倉庫などで多く見られます。
シンプルなデザインで、コストパフォーマンスに優れています。
メリットは、軽量で施工が容易な点、そして安価であることです。
強度も瓦棒葺きと比較して遜色ありません。
デメリットとしては、デザインがシンプルすぎるため、住宅にはあまり適さない場合があること、そして、瓦棒葺きと同様に経年劣化による錆や塗装の剥がれに注意が必要な点です。
折板トタン屋根
折板トタン屋根は、工場や倉庫などの大規模な建物によく用いられる工法です。
大きな一枚板のトタンを折り曲げて強度を高め、それを重ねて葺いていきます。
メリットは、高い強度と防水性です。
また、施工が比較的早く済み、大規模な建物にも対応しやすいのも特徴です。
デメリットとしては、住宅にはデザインが合わない場合があること、そして、他のトタン屋根と同様に、経年劣化による錆や塗装の剥がれへの対策が必要な点です。
その他のトタン屋根の種類
上記以外にも、様々な形状や葺き方があります。
例えば、立平葺き(たてひらぶき)は、瓦棒葺きと同様に縦葺きですが、芯木を使用せず、トタン板同士を組み合わせて固定します。
より現代的なデザインで、芯木の腐朽によるトラブルが少ないのが特徴です。

トタン屋根のメリット・デメリットと選び方のポイント
トタン屋根のメリット
低価格:他の屋根材と比較して、材料費と施工費が比較的安価です。
軽量:瓦屋根などに比べて非常に軽く、建物の構造への負担が少ないため、耐震性にも優れています。
施工性:施工が容易で、工期が短縮できるため、費用を抑えられます。
雨水排水性:適切な勾配があれば、雨水の排水性が良好です。
トタン屋根のデメリット
錆びやすい:亜鉛メッキが剥がれると錆が発生しやすく、雨漏りの原因になります。
定期的な塗装が必要です。
断熱性・遮音性が低い:金属のため、夏は暑く、冬は寒く、雨音も響きやすいです。
断熱材や遮音材の併用が推奨されます。
メンテナンス頻度が高い:錆の発生を防ぐため、5~10年に一度程度の塗装メンテナンスが必要となります。
デザイン性の制限:デザインのバリエーションは、他の屋根材と比較して少ないです。
トタン屋根の選び方・注意点
トタン屋根を選ぶ際には、建物の用途、予算、デザイン、メンテナンス頻度などを総合的に考慮する必要があります。
特に、錆への対策は重要です。
高品質のトタンを使用したり、定期的な塗装メンテナンスを行うことで、トタン屋根の長寿命化を図ることができます。
また、施工業者選びも重要です。
経験豊富で信頼できる業者を選ぶことで、施工品質と安全性を確保できます。
まとめ
この記事では、トタン屋根の種類、それぞれのメリット・デメリット、そして選び方のポイントについて解説しました。
トタン屋根は安価で施工が容易な反面、錆や経年劣化に弱いという側面があります。
そのため、定期的なメンテナンスが不可欠です。